【ガンプラ誕生の裏側】バンダイ ホビーセンターへ潜入!注目度No1「HG 1/144 ガンダムエアリアル(改修型)」ができるまでの画像一覧
ガンプラの生産拠点・静岡県にあるバンダイホビーセンターへ潜入! 今回は特別に「機動戦士ガンダム 水星の魔女」に登場する主人公機「HG 1/44 ガンダムエアリアル(改修型)」ができるまでを、各担当者のお話しとともにお届けします!
ナビゲーターはリンクルプラネット2期生 小橋川梢さん
ナビゲーターは、プラモデルの楽しさを世界中に広めているアイドルグループLINKLPLANET(リンクルプラネット)2期生の小橋川梢さん。
①企画・開発
〈企画〉メディア展開・ユーザーの意見などをふまえ、どんなガンプラを作るか考え、決定した内容をもとに、開発がスタート。最初の仕様検討から、各チームと具体的な仕様を詰めていき、試算が完了するまでの期間はおよそ5カ月。
〈開発〉全体を指揮し、設計や金型の担当者それぞれの目線の意見を吸い上げ、協力しながら開発を進行。ガンダムエアリアル(改修型)はアニメ制作と並行しての進行。そのため、通常商品よりも時間がかかっているそう。
シールドの分離合体や武器の合体ギミックなども含めて、今までガンプラに触れたことのないお客様でも楽しめるような工夫を盛り込みました。
例えば、特徴的な頭部はパーツ分割により、組み立てただけで劇中のかっこいいイメージが再現できるようになっています。
また、ポリキャップを使用せず、パーツを挟み込む構造を極力避けたことで、スムーズに楽しく組み立てられるよう商品開発を進めました。
②設計
デザインと構造、ギミックを両立させるパーツ構成を創るため、まずコンピュータの中に完成したガンプラを作り、ガンプラのデータをパーツごとに分割。予定されていたギミックを盛り込んだり、十分な強度が出るように調整が行われる。使う素材や製造工程のプランニングも担当。
③試作
いわゆる3Dプリンタで光造形を出力、設計データそのままの試作(プロトタイプ)を作成。光造形を実際に組み立てることで動きやギミック、設計に問題がないかを確認している。ホビーセンターにはプリンタ感覚で使えるシステムがあり、短期間での試作の作成が可能になっている。
特徴的な武器のギミックの再現が悩みどころでした。設定に準じた変形ギミックを、簡単にストレスなくできること、楽しく遊べることなどを検討しながら進め、意匠面で2体、ギミックなどで3体ほど試作・確認を重ねています。
特にギミックにはこだわり、試作数は通常より多いです。少ないパーツ数で誰でも簡単に組み立てられる構造、色再現やインモールドパーツの採用で、より完成度の高い製品に仕上げています。
④金型の設計
パーツの設計が進むと、金型のレイアウト設計にシフト。②の設計からひとつずつ上がってくるパーツの立体データを平面データに。パーツの平面データを参考にしながら、樹脂の流れを予測、ユーザーの組み立ての順番を考慮し、パズルの要領で金型の枠に配置していく。
「物」として金型が作りやすい形状・成形しやすい形状と、かっこよさの両立が課題でした。
最もかっこよさが求められる顔のマスクパーツ(特に目元)がかなり複雑で、設計担当者と何度も相談、パーツ形状も少し変更しながら、その両立と、かつ壊れにくいPL(金型の合わせ目、パーティングライン)にすることができました。
パーツ分割もチャレンジングで、PLが複雑になることが多く、1つのランナーに対しパーツ数も多いため、金型強度が担保されるようパーツの向きとゲート位置に気を使い設計しました。
⑤金型の製作
樹脂を設計図通りのガンプラのパーツにするための実際の金型を作る工程。金型はガンプラのパーツの形に出っ張っている凸型とへこんでいる凹型があり、この凸型と凹型で挟んだ時にできる隙間に溶けた合成樹脂を流し込むことで作られる。ここでは、これまでに作られた金型のメンテナンスも行っている。
データができてから金型加工が始まり、およそ5~6カ月程度で完成します。ガンプラは接着剤を使用しなくても組み立てられるスナップフィットを採用。その加工は金型職人が手で調整をしています。
今回は11個あるビットステイヴが体だけでなく武器にも脱着するというギミックがあり、パーツ同士を組み立てる際の勘かん合ごう調整がポイントに。脱着箇所をすべて、強すぎず、弱すぎず調整するのは本当に大変でした。また顔の形状が複雑なので、かっこよく見えるようにしっかりと形状出しを行うことにも苦労しました。
⑥パッケージ・取扱説明書デザイン
そのガンプラのイメージを担うパッケージ、「組み立て」というプラモデル特有の体験価値を大きく左右する取扱説明書をデザイン。説明書は、手順が書いてあるだけではなく、わかりやすさを重視。プラモデルを組み立てる際の楽しさや、他の商品も作ってみたいと思ってもらえるかを決定づける重要な役割も果たしている。
パッケージアートは、昨今のトレンドや、学園もの、女性主人公であるイメージを意識し、透明感や空気感を演出したテイストに。それをひき立てる白と水色を基調とした、清潔感のある爽やかな印象でまとめました。
また、無塗装状態の商品やランナーの写真も掲載することで、塗装をしなくても作品の設定に近い状態を再現できることを伝えています。初めての方にも手に取ってもらいたいという思いから、従来の枠にとらわれないデザインで制作しました。
説明書は、今作のシリーズがガンプラ初挑戦という方が多くいると予想されたため、これまでの説明書のいいとこ取りをし、「基本説明はエントリーグレード同様に丁寧に説明する」「組み立て部位ごとに使うランナーをブロックの最初に説明する」「パーツリストをカラーで掲載する」など、“初めてでもわかりやすい”を特に意識しました。SNSで「ガンプラ初挑戦だけど説明書がわかりやすくて簡単だった!」というコメントも多くいただき、うれしく思っています。
⑦生産
いよいよ成形。金型をセットした射出成形機に材料となるペレット(樹脂)を流し込み、150tほどの圧力をかけてプレスすることでランナーが生み出されていく。
ここでは、最終充填位置や縦押切(コマ同士が擦れて潰れやすい箇所)を重点的にチェック。
『機動戦士ガンダム水星の魔女』のガンプラシリーズの中には「ガンダムエアリアル(改修型)」に限らず、3㎜軸で互換性を持たせている商品があるため、調整の際は軸や穴の寸法がぶれないように細心の注意を払っています。
そして完成!パッケージング・店頭へ
取扱説明書と一緒にパッケージに梱包、出荷。あなたのお手元に。
ホビーセンターの名物ユニフォームを一挙公開!
ホビーセンター名物!? ガンダムの世界観を感じられる制服たち。背中には「ものづくり」への「こだわり」を表す「匠」という文字が入っている。
【グレージャンパー】
企画・開発・設計などの社員が着る制服。ジャンパーは階級章を二の腕付近に付けられるようになっている。
【作業用制服】
金型・成形担当者の制服。ジャンパーと異なり、静電気防止加工などが施されている素材を使用。
【レッドジャンパー】
ホビーセンターの上位役職者のみ着用が許される「赤」。赤を着用しているのはなんと5人だけ!
【夏服】
夏用に薄い生地で作られており、階級章は肩部分に縫い付けられている。
静岡市プラモデル化計画が進行中!? 「もしも静岡市がプラモデルだったら……?」
全国に出荷されるおよそ8割のプラモデルを生産する、ホビーの街・静岡市。「この街がプラモデルだったら、どんな景色になるのだろう?」「どんなワクワクが待っているのだろう?」という遊び心から生まれた静岡市プラモデル化計画。オフィシャルサポーターはLINKL PLANET。静岡市と連携し、プラモデルの魅力を広く伝え、ものづくりの興味関心を高める活動を展開中。
街の中には、さまざまなものを「組み立て前」のパーツに分解したモニュメント(=プラモニュメント)も設置されている。徳川家康公の黄金の甲冑「金陀美具足」をモチーフにしたもの。
各種企画を収録! 機動戦士ガンダム 水星の魔女 SPECIAL BOOK
今回ご紹介した「BANDAI HOBBY CENTERへ潜入!本誌限定特別企画!HG 1/144 ガンダムエアリアル(改修型)ができるまで!」をはじめ、ガンダムファンにはたまらない情報は宝島社『機動戦士ガンダム 水星の魔女 SPECIAL BOOK』でご覧ください。なんと、美麗なパッケージアートをプリントした本誌限定アイテム「ガンプラパッケージアートポーチ」付き!
photograph_Satoshi Omura hair & make-up_Yumiko Iizuka
©創通・サンライズ
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(出典 news.nicovideo.jp)
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