機動警察パトレイバー」で描かれる10年後の近未来、日本の社会環境のあり方をアカデミックに考察するwebセミナー「パトレイバー塾」の第3回が、2022年4月9日インターネット配信された。

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第3回のテーマは「正しいレイバーの使い方」。”レイバーと暮らす都市”を軸に実世界でのレイバーの使い方についての考察を深めるトークが繰り広げられた。

出演者は、レギュラーの矢部俊男さん(森ビル 都市開発本部 計画企画部 メディア企画部)、小林あずささん(女優、アナウンサー)、廣瀬通孝さん(東京大学名誉教授)。この3名に加え、建設機械メーカーの日立建機株式会社 ブランドコミュニケーション本部 広報・IR部担当部長の小俣貴之さんをゲストに迎えて配信されたwebセミナーの模様をレポートしよう。

番組は、「ストーリーや人物に目が行きがちな中で、都市や技術の話を中心に聞けたのは嬉しい」という視聴者コメントを受けて、前回配信された「未来都市の多摩エリアパトレイバーの舞台になるか?」の振り返りからスタート

実際に岸田内閣が提唱している「デジタル田園都市国家構想」を引き合いに出しつつ、矢部さんは「『パトレイバー』では(東京の)一極集中で(都市が)描かれているが、現実ではこれからは地方に都市を持っていかないといけないという流れになっている」「とはいえ、いきなり地方に都市を新たに作って、そこで活躍を描くというのは『パトレイバー』の世界観にはそぐわない」「『パトレイバー』の世界観で(未来都市構想を)やるとしたら、多摩(が舞台になる)だろう」と持論を展開した。

 

 

ここから第3回の本題「正しいレイバーの使い方」に突入。レイバーといえば土木作業機械から発展したロボット……という劇中の設定が存在していることから、現実の重機、作業機械と照らし合わせつつ、劇中のレイバーの描写や今後のレイバーの描かれ方などに対する考察が展開した。

 

ゲストの小俣さんは、高校生時代に「機動警察パトレイバー」から多大な影響を受けたという直撃世代だ。そんな小俣さんは、劇中に登場するレイバーを比較しつつ「グラウベアやタイラントは腕が大きいので、いかにも重たいものを持つ作業をする手をしている。これがだんだん進化して、ボクサーになっていく。だから重作業用と組み立てたりする作業用レイバーは、違う(系統)のかな」「カラーリングは実際の重機と同じで、目立つ色になっている。その設計がリアルだと思う」とコメント

また、アニメレイバー活躍シーンを再生しつつさまざまなトークを展開する一同。その中で、小俣さんが特に気になったのは劇場版第1作の、木造家屋をレイバーが腕で破壊、解体しているシーンだという。

 

「なんで2本の腕があるのに、こんな荒っぽい壊し方をしているのか。実際には(廃棄物を分別する都合上)瓦を外したり梁(はり)をつかんでどかしたりと、構造材ごとに取り外していく。これは不自然ですね」とツッコミを入れると、矢部さんは「1980年代はまだゴミの分別がない時代だったので、“せーの!”で建物を壊したりしていたそうです。今度、新作が作られる時は、もっと細かく解体している描写になると思います」とフォローを入れた。

アニメが制作された1980年代末と劇中で描かれている1990年代末。そして2022年現在という時代のギャップに、作品の味わいを感じるばかりである。

 

 

そのほか、太田巡査のイングラム2号機の銃撃でタイラントの冷却材が漏れ出るシーンについて、「常に冷却していないといけない駆動系」「ということは、超電導システムが組み込まれているのかな」と小俣さんは、技術者ならではの視点で考察する。

また、コミック版などでもグリフォンの整備シーンが、まるで冷凍庫のように描写されていると語ると、廣瀬教授は「当時、超電導が話題になっていた」ため冷却材の描写が生まれたのではないかと語る。

パトレイバー」という作品が、いかに当時の最新技術、トレンドを取り入れて科学的、技術的な演出を生み出していたのかがうかがえる。

 

またトークの話題が、現実の重機・土木作業機械の足回りはクローラー(履帯)が使用されているが、レイバーのような脚のような構造は実現するのか、という内容に及ぶと、小俣さんは「昔は(技術的に)無理だった。そういう意味では、(現在)クローラーが使われているのは自然なこと」と語りつつ、脚構造のメリットについては、足元のコンディションが複雑な場合、自分で脚を設置させる場所を選べるというメリットがあると語った。

 

 

また日立建機が開発した、まるでレイバーのように2本のマニピュレーターを持つ重機──双腕仕様機「アスタコ」の話題から、レイバーメリットについて展開する。

アスタコが活躍した現場として、小俣さんは震災のがれき撤去をあげる。たとえば、一般的な腕が1本の油圧ショベルだと、複雑に絡み合ったがれきの片づけが難しいケースがある。しかし、アスタコは片手でがれきを持ちあげつつ、もういっぽうの手で切断したりできる、という具合に繊細な作業が可能になっているそうだ。

また、そういう現場だとどの足場が安全か選択できる脚構造のほうが、クローラーよりも有利と言えるようで、もしレイバーが実在した場合、「災害復旧」の現場での活躍が期待できそうである。

 

そのほか、小俣さんは「日立建機の次のステップは“自動化”」だと語る。イングラムにも搭載されている教育型コンピュータ的なものは、すでに現実の重機、作業機械にも搭載され始めているようで、運転手ごとの癖をAIが学習し、効率的な稼働を実現──最終的に認知、判断、操作をコンピュータが担うようになることを目指しているという。

そのうえで、矢部さんは「次の作品ではパトレイバーの近くにドローンがいて、こっち側(ドローン視点)はどうなっているのか、という違う視点が出てきてレイバー本体をアシストするもの、視点移動するものがでてきてもいいのでは」と、現在の技術に照らし合わせた提案を繰り広げる。

「今は人間の体(の延長)でレイバーを考えている。新しい作品では、(レイバーを)違う身体の存在として考える」と最後に廣瀬教授が語っていたように、今後「パトレイバー」の新作が作られる際は、現実の技術発展を受けて、これまでにない新たな形のレイバーが生まれてくるのかもしれない、と思わせられる配信であった。

 

次回は、劇中に登場した「シャフト・エンタープライズ」のような多国籍企業に出演を打診中とのこと。

またしてもディープな話が期待できそうである。

 

なお第3回の配信は2022年4月23日(土)23:59までアーカイブ視聴可能。視聴チケット販売は2022年4月22日(金)23:59までなので、まだ観ていない方は、お忘れなく!

 

【配信情報】

パトレイバー塾第3回「正しいレイバーの使い方」

・開催日時:2022年4月9日(土)15:0017:00(予定)

     ※アーカイブ視聴も予定しております。

      生配信終了後   2022年4月23日(土)23:59まで

     ※視聴チケット販売は2022年4月22日(金)23:59まで 

・会場:Fanbeatsパトレイバー塾(第3回)webセミナー視聴ページ https://fanbeats.jp/projects/261

・出演者:

廣瀬 通孝(東京大学名誉教授)

小俣 貴之(日立建機株式会社 ブランドコミュニケーション本部 広報・IR部担当部長)

小林 あずさ(女優、アナウンサー

矢部 俊男(森ビル 都市開発本部 計画企画部 メディア企画部)


>> レイバーが実在したらどんな現場で活躍するのか!? 「パトレイバー」をアカデミックに考察するwebセミナー「パトレイバー塾」第3回「正しいレイバーの使い方」リポート の元記事はこちら
レイバーが実在したらどんな現場で活躍するのか!? 「パトレイバー」をアカデミックに考察するwebセミナー「パトレイバー塾」第3回「正しいレイバーの使い方」リポート


(出典 news.nicovideo.jp)

面白い記事です!出展;あき

<このニュースへのネットの反応>

廣瀬教授は〜ではないかと語る。<ええい、ゆうき先生呼んで直接語らせろい!





ロボアニメ好きなオタクの方がよっぽど説明に向いているが、説得力には肩書が必要だったりするしな。


レイパー?


レイバーが活用するためにはどうしたらいいか?ってビジョンを出す為ダメ出しは悪くない。聞いているのかね押井守くん!


基本こういうの作業用の重機が発展して戦闘用や極地採用型みたいなマイナーチェンジ型が出ると思うけど・・。実際すでに二足歩行型やクレーン型人型重機は出てるしガンタンク形態の重機が出るのもそれほど遠くない未来なのかもな


重機は現状の性能で問題ないから、着用するタイプのパワードスーツを一般化して欲しいかな。建設現場でH鋼を大量に積み上げたり、50mm以上のワイヤーを扱って玉掛するのはしんどい。腰痛持ちのじじいばっかりだ。


そういうアシスト用の補助装置はかなりの研究が進んでいて、既にある程度流通も進んでるな。ただやはりというべきか、高性能なものはまだまだ高額で一式で100万近くするものもあるから大衆向けに流通するのはまだ先になりそうだ