ガンダムマーカーを使った塗装技術と、“メカ感”のあるリアルさや、神秘的な印象を与える撮影技術で、絵なのか、CGなのか、写真なのか判別不能のガンプラ作品を発表し続けているDON-GURIさん(@ten10kozo)。その近作は、ジオングの出撃直前に整備兵が慌てて準備をする様子を“描いた”もの。SNSでは、「ス、スゲェ....1/144ガンプラでここまで」「このままジオングプラモの箱のパケ写に使われててもいいレベル。むしろそれすら超えてる」と最大級の賞賛の声があがった。一体どうやって本作は生まれたのか、同氏に話を聞いた。

【別アングル】「どこかにシャアがいます…」搭乗も分かりやすい!? 横から見るとよりリアルな「ジオング」

■3作目のジオングは本来の姿「東京、福岡のガンダムベース展示作をヒントに制作」

――毎回素晴らしいケールの作品を発表されていますが、なかでも本作は1万件を超えるいいねを獲得されました。この反応はどのように受け止めていらっしゃいますか?

DON-GURI】正直なところびっくりしていますが、それほど多くの方の心を動かしたのだと思うとうれしい限りです。本当に感謝しています。

――ジオングに関してはこれまでも何作か作られたと思うのですが、本作を制作する経緯を教えてください。

DON-GURI】これまで、RGジオングを使用した作品を2体制作してきました。最初は、内部メカをメインにした作品、そしてスケルトンの外装からジオングの姿はぼんやり見えながらも内部メカが見える2作目。3作目となる今回は、過去のそれぞれの作品の要素を合わせ、スケルトンではない本来のジオングの姿と内部メカの両立を目指しました。それを実現する方法として外装の一部がハッチオープンのように開いて、そこから内部メカを見えるようにしようと思いました。東京や福岡のガンダムベースで展示されている作品からヒントを得ています。

――以前に制作されたジオングの手法も大事にしながら、さらに進化させたのですね。本作は整備されているジオングが描かれており、整備兵の姿もあります。背景にどのような物語をイメージして制作したのですか?

DON-GURI】本作の正式な題名としては「出撃前」としたいです。急造の状態なのに出撃しなければならなくなったジオングシャアジオン兵が慌てて出撃を準備し、最終調整を終えて、今まさに初めてシャアが搭乗しようとしている状況をイメージしました。

■「プラモデルを1枚の絵のように写真として切り取る表現」

――本作は、神秘的なイメージもあったこれまでの作品に比べると、より“メカ”感が強い印象です。そのあたりは何か意識されたのでしょうか?

DON-GURI】本作は、これまでの作品よりももっと自然にひとつのシーンを再現しながら、プラモデルを1枚の絵のように写真として切り取るような表現をしようとしています。ジオング本来の姿を維持しながら、一部のパーツを浮かせて内部を見える方法を行ったので、よりリアルな感じに仕上がりました。外装パーツを外すのではなく浮かせるということと、腕や腰、バーニア部分は延長することでジオング全体のバランスをとっている効果が出ていると思います。

――内部を見せるために、パーツを浮かせることは簡単ではないですよね?

DON-GURI】そうですね。パーツを開いているように浮かせている部分は一番苦労しました。「どの方向に開くか?」は、予定している写真のアングルで見たときにほかの部分が見えにくくならないように注意しました。また、パーツは針金で本体と接続しているのですが、この針金の強度や、太さもいろいろ悩んで模型屋さんにアドバイスをもらいながら、選定して揃えました。それでも、無理をして触ると外れることもあり、制作途中で何回もやり直ししました。

――新たな技術を取り入れたのですね。“新たな”と言えば、これまでの作品には登場してこなかった整備兵やシャアなど人間の姿も新鮮でした。

DON-GURI】そうですね。当初は予定になかったのですが、整備兵やシャアフィギュアも取り付けました。ビルダーズパーツの1/144フィギュアを模型店で見つけたとき、「使うしかない」と即決しました。小さいですが、これらのフィギュアも全てガンダムマーカーで塗装しています。寄せられたコメントの中には、拡大しないと見えない整備兵や乗り込んでいくシャアに気付いてくれたものもあり、こだわった部分が伝わったことがとてもうれしかったですね。

――塗装が全て、筆塗りやエアブラシではなく、ガンダムマーカーというのも毎回驚きです。

DON-GURI】ガンダムマーカーの強みは、部分塗装を気軽に行えることだと思います。結構細かい部分の塗装も可能ですが、それを筆塗りするのは大変ですし、マスキングしてエアブラシ塗装となるとかなり難しくなります。それを簡単に行えることがマーカーの長所だと思います。ある程度揃えておけば、成型色を活かしつつ、部分的にガンダムマーカーで塗装することで簡単に情報量の多い仕上がりにできます。

――塗装と共に、本作のポイントは写真撮影だと思うのですが、撮影はどのようなポイントに気を付けて行ったのですか?

DON-GURI】スカートの中を見えるようにするために、下から自撮り用のライトで照らし、本体の斜め後ろからレフ板を当てて光の調整を行いました。構図は制作途中でいろいろな角度で眺め、一番“映える”のはどのアングルなのか探ります。今回は少し低いアングルで撮影していますが、背面液晶を見ながらカメラの位置を決めていくのは少し苦戦しました。といいつつ、実は撮影は10分ぐらいしかかかっていません(笑)。制作が進むにつれどういうアングル、構図で撮影するのかを決めており、光の入り方の調整だけだったので。

――これだけ完成度の高い作品を発表し続けると、フォロワーの方も次作を期待したくなりますね。最後に今後の目標、夢、野望がありましたら、お聞かせいただけると幸いです。

DON-GURI】自分の強みというか個性は、やはり写真の技術を使い、写真作品を最終ゴールとしていることです。すでに個人的に写真作品を数冊のフォトブックにしていますが、個人だけの楽しみではなく写真の個展を開きたいという野望を持っています。そのためにも継続して作品を増やしていかないといけません。実は既に次作の制作に入るところで、年内には新作を発表できるのではないかと思います。楽しみに待っていてください。

「出撃前」 制作・写真提供/DON-GURI氏 (C)創通・サンライズ


(出典 news.nicovideo.jp)

DON-GURI氏の作品。すごすぎます。絵画かと思いました

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